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(本の紹介)『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』 日本的社会構造を理解するための1冊

先日,読んだ『21世紀のキャリア論 想定外変化と専門性細分化深化の時代のキャリア』の後半に参考文献として掲載されていた『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』を印象に残った箇所を特に引用して感想を付け加えながら紹介したいと思います。


日本社会の人間関係は,個人主義・契約精神の根付いた欧米とは,大きな相違をみせている。「場」を強調し「ウチ」「ソト」を強く意識する日本的社会構造にはどのような条件が考えられるか。「単一社会の理論」によりその本質をとらえロングセラーを続ける。

<目次>

1.序論
2.「場」による集団の特性
3.「タテ」組織による序列の発達
4.「タテ」組織による全体像の構成
5.集団の構造的特色
6.リーダーと集団の関係
7.人と人との関係

(日本において)“場”,すなわち会社とか大学とかいう“枠”が,社会的に集団構成,集団認識に大きな役割をもっているということであって,個人のもつ“資格”自体は第二の問題となってくる。


多くの日本人が自己紹介をする場合に,名前よりも先に「所属先」(〇〇社や△△大学など)を名乗ることからも良く分かると思います。ここで重要なことは,日本社会においては特に職業」(エンジニアやカメラマンなど)よりも「所属先」(企業名や大学名)が優先されるということです。また,得てして仕事そのものよりも所属先に自らのアイデンティティーを置いている人が多いことも事実です。



一体感によって養成される枠の強固さ,集団の孤立性は,同時に,枠の外にある同一資格者の間に溝をつくり,一方,枠の中にある資格の異なる者の間の距離をちぢめ,資格による同類集団の機能を麻痺させる役割をなす。すなわち,こうした社会組織にあっては,社会による安定性があればあるほど同類意識は希薄となり,一方「ウチの者」「ヨソの者」の差別意識が正面に打ち出されてくる。



同じ“場”を共有できる成員同士間で,極めてエモーショナル(感情的)な人間関係(繋がり)を築き一体感を高めようとするため,同じ“場”を共有できない(異なる企業や大学など)人と親しい関係を結ぶことが非常に困難な社会であると云えます。つまり,「ヨソの者」を受け入れるだけの社交性が欠如しており,いつまでも付き合う上での「ヨソヨソしさ」が抜け切らないのです。この点で云うと,国民性も大きく影響しているのではないかと思います。留学先で出会った多くフィリピン人には日本で感じる「ヨソヨソしさ」はありませんでした。




日本人,日本の社会,日本の文化というものが,外国人に理解できにくい性質をもち,国際性がないのは,実は,こうしたところ-論理より感情が優先し,それが重要な社会的機能をもっているということ-にその原因があるのではなかろうかと思われる。


西欧社会は一般的に「契約社会」(論理に忠実な社会)と呼ばれ,仕事を行う上でも契約に則った行動が求められるため「年齢差」や「相手の好き嫌い」の如何に関わらず,仕事を遂行が求められます。一方,日本では「契約」という概念が薄いため常に感情的な繋がりや関係(どちらが格上なのか,相手が好きか否か)が何かををする上でも全面的に出てしまうのです。海外とビジネスをする上でも,日本独特の社会構造を理解した上で相手に合わせることが大事になります。


<まとめ>


タテ社会の人間関係 単一社会の理論』の中で,特に印象に残った箇所を引用しながら私個人の感想を付け加えました。日本社会についてやや批判的な点も多いですが,どの社会においても文化的な違いや特徴は付きものであり,決して「善悪の問題」で片づけることはできません。日本的な社会構造を十分に理解した上で,それを諸外国の社会構造と比較することでより世界全体を幅広い視野で見ることができるのではないでしょうか。これは,諸外国とビジネスや取引を行う上で必ず役に立つと思いました。

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